携帯各社の料金プランが出揃い今後の展開は?

携帯各社の料金プランが出揃い今後の展開は?

管新政権が発足し、総務大臣から携帯電話事業者に対して「アクション・プラン」が提示されてから、携帯電話各社から新料金プランが順次提示され、携帯大手3社の新料金プランが出揃いました。

この記事では、新料金プランに至った大きな流れから今後の展開について予測していきたいと思います。

携帯大手4社の料金比較

携帯事業者各社が新料金プランを発表しています。
これらを比較表にまとめたものが下記になります。
料金だけでみれば、新料金プランを発表していない楽天モバイルは依然として破格の料金となっています。

新料金プラン発表までの経緯

携帯電話料金の値下げについては、管新政権が発足した直後に発表された政策の目玉として「アクション・プラン」を掲げ話題になっていました。
管総理大臣が就任後初の記者会見の場で、「携帯電話大手3社が9割の市場を独占し長年に渡り支配し続け、世界的に見ても高い料金体系で営業利益20%を上げ続けている」ことを問題とし、武田総務大臣に対して「具体的な結論」を出すように指示を出していました。

この時、政府が特に問題視していたのは、世界6都市の料金を比較した際に20GB以上の大容量プランの価格がニューヨークと僅差だったものの最も高額だったことを上げています。

MNPの無料化やMVNOへの回線貸し出し料金引き下げ等に向け、総務省は「アクション・プラン」を発表し携帯電話事業者に指示を出しました。

それを受け、KDDIとソフトバンクは翌日にサブブランドのY!Mobile、UQモバイルから20GBの新プランを発表。
この発表が大きな波紋を呼び、武田総務大臣はメインブランドではなく、サブブランドの料金値下げ発表に対しては不満を表明し「メインブランド」の料金値下げを更に命じられる形になりました。

携帯電話事業者の動きが激化し、ドコモが先手

武田総務大臣からのメインブランドの料金値下げについての指示は、大手通信キャリアに影響が大きかった。
この時、NTTdocomoは、NTTによるTOB期間であったため、KDDI、ソフトバンクの様に動くことが出来ませんでした。
TOBが完了し落ち着く間も無いまま、NTTdocomoは2020年12月3日に業界に激震が走るような新料金プラン「ahamo(アハモ)」を発表しました。
さらには、12月18日には5G向けの「5Gギガホ プレミア」、4G向けの「ギガホ プレミア」を発表し、先行して動いていたKDDI、ソフトバンクのスキをつく形で「ゲームチェンジ」を仕掛けました。

この「ahamo(アハモ)」の料金は、月額2,980円でデータ容量は20GBの他、5分/回のかけ放題と82ヶ国の国際ローミングが付いた料金プランとなっています。
更に特徴としては、オンライン専用の料金プランとして、料金値下げを行ったとしています。
さらに「5Gギガホ プレミア」は6,650円でデーや容量無制限で現行プランから1,000円の値下げを行い、「ギガホ プレミア」は6,550円で60GBのデータ容量で現行のギガホからは600円の値下げを行っています。

これまで、一番保守的だったNTTdocomoが料金体系を一気に下げ、データ無制限のプランも強化してきたことによって、KDDI、ソフトバンクに対する対抗策を講じてきています。

ソフトバンクがahamo(アハモ)に対抗

その後、ahamo(アハモ)に対抗したのがソフトバンクで、LINEモバイルをサブブランド化し「Softbank on LINE」を新たに作り、ahamo(アハモ)と同料金体型でLINEをノーカウントとしたプランを発表しています。
大容量のプランでは、4G/5G回線で新料金プラントして「メリハリ無制限」を6,580円で発表しました。この料金は既存の50GBのプランと動画SNS放題がついたメリハリプラント比較すると1,900円値下げを行っています。

2021年に入り、KDDIが新料金プラン発表

ドコモ、ソフトバンクに続き、2021年になって新料金プランを発表したのがKDDIです。
KDDIはオンライ専用のブランド「povo(ポヴォ)」を立ち上げ、20GBで2,480円のプランを発表しました。
この料金プランには5分/回無制限の音声通話は付いておらず、オプション扱いとなっており、5分/回かけ放題のオプション(月額500円)を付けると、他社と同じ2,980円です。
このことを受け、武田総務大臣は「紛らわしい」とし、遺憾の意を示しました。
世間でも「また見た目だけ安く見せようと…」「またかよ…」などと言ったネガティブなコメントが寄せられています。

KDDIの新料金ブランド「povo(ポヴォ)」は、5分/回かけ放題、24時間データ定額、1ヶ月通話定額などのオプションをトッピングとしてユーザーが選べるようにと言ったコンセプトであるのだが、世間との意識の乖離が未だ分かっていないような組織絵が浮かび上がった。

大容量のプランはというと、既存の「データMAX 5G」「データMAX 4G」見直しを行い、「使い放題MAX 5G」「使い放題MAX 4G」を発表し、いづれも6,580円となっています。
既存のプランからは「使い放題MAX 5G」は2,070円、「使い放題MAX 4G」は1,070円値下げとなっています。

KDDIは小容量のプランにもテコ入れを行い、UQモバイルから「くりこしプランS/M/L」を発表しました。
この新プランは「くりこしプランS」が3GBで1,480円、「くりこしプランM」が15GBで2,480円、「くりこしプランL」が25GBで3,480円となっており、ソフトバンクのサブブランドY!mobileの「シンプルS/M/L」に対抗しており、料金的に500円程安くなっている以外にも「くりこしプランM/L」では容量が5GB、Y!mobileのシンプルプランより多くなっており、更に翌月へ繰り越せる。

この様な流れによって、MNOの料金プランは20GBの新プラン、大容量の無制限プラン、小容量のサブブランドの料金体系が大幅に改定される流れになりました。

小容量の既存サブブランドの提供は2021年2月〜、20GBの新料金プランなどは2021年3月〜提供開始となっています。

これからの携帯業界はどうなるの?

これまで、大きなながれとして料金が大幅に改定されることになりましたが、これまでの中で未だ手つかずの領域が「低容量の段階制プラン」です。
下の図をご覧頂くと分かりますが、実際の使用量は5GB未満のユーザーが65%を締めています。
この領域は、Y!mobile、UQモバイル、格安SIMなどのMVNOの領域となっており、特にMVNOの回線の卸値との兼ね合いがあるため、未だ手つかずの状況になっています。

収益性や様々な調整が必要なため、時間が掛かるのは仕方ないが、この部分についても近々料金改定がなされると思われます。

もし、その動きが緩慢で時間が掛かるとすると、大手通信キャリアの顧客囲い込みが一層増し、MVNOは生き残りを掛けて統廃合、または廃業するMVNOが出てくる可能性が高い。
この点について、総務省がどの様に動くのかが今後の命運を分けそうです。

これまで、各社が新料金を大幅に値下げして発表している背景は、間違いなく総務省からの圧力によるものではあるが、健全な競争はなされていない。
結果として、大手キャリアの顧客の囲い込みをさらに強める形となっています。
料金は大幅に下る形にはなりそうだが、大手3社による支配を強める結果については、総務省だけでなく管新政権の責任でもあるため、最後まで責任をもって対応願いたいところです。