格安SIMも料金値下げが進むか?日本通信とドコモが音声通話卸料金合意へ

格安SIMも料金値下げが進むか?日本通信とドコモが音声通話卸料金合意へ

NTTドコモが「ahamo(アハモ)」、ソフトバンクが「Softbank on LINE」、auは「povo(ポヴォ)」と新料金を続々と発表し、更にはサブブランドと呼ばれるY!mobile、UQモバイルからも料金値下げが発表され、更に追い打ちを掛ける形で楽天モバイルからも低容量ユーザー向けの段階的な料金プランが発表されています。
その様な状況の中、格安SIMと呼ばれる割安な料金でSIMを提供するMVNOの存在が危ぶまれています。

今回の日本通信とNTTドコモが卸料金について合意したことによってどの様な事が起こるのでしょうか?

格安SIMが置かれている状況に変化が?

本来は大手キャリアと格安SIMとの間で競争が行われ、相関的に料金の値下げが行われることを政府は想定していたようですが、NTTドコモの「ahamo(アハモ)」の登場によって業界の状況が一変しました。

この様な状況の中、格安SIMの老舗の日本通信とNTTドコモ「音声通話卸役務」の料金設定について調整が難航していましたが、2月1日付けでようやく合意に至りました。

この合意は格安SIM業界にとっては死活問題となる大きな合意となります。
なぜかと言うと、日本通信はMVNO(Mobile Virtual Network Operator)という立場ではありますが、多くの格安SIMにSIMを提供するMVNE(Mobile Virtual Network Enabler)という性格も併せ持っています。

NTTドコモから日本通信への回線卸料金が値下げされる事によって、日本通信からSIMの提供を受ける多くのMVNOは値下げした新料金プランを提供する事が可能になりますので、現状の格安SIMの料金が格安ではない状況を打破する事が可能になります。

大手キャリアの新料金プランの提供は3月から徐々に開始されますので、それまでに格安SIM各社が割安な料金提示が出来なければ、格安SIMのユーザーは流出していきますので、格安SIM各社は一気に新料金を発表してくるのでは?と予想されています。
かなり、期待大です。

これまでの日本通信とドコモ間の交渉の経緯

日本通信は、NTTドコモが「ahamo(アハモ)」を発表したことによって、卸料金の値下げ交渉をしている訳ではありません。
日本通信は、NTTドコモと音声通話料金について値下げを要求し交渉を続けてきていますが、交渉が不調となったことから、2019年11月15日に総務大臣に対して、NTTドコモからの音声通話卸役務について、電気通信事業法に基づく裁定を申請しています。

この申請を受け、2020年2月4日に総務省から日本通信の主張を一部認め、「電気通信紛争処理委員会」へ両社へ意見聴取を行い正式な裁定を出すように指示を行いました。

この両社の意見聴取の結果、総務大臣は2020年6月30日に正式な裁定を行いました。
その内容は、ドコモに対して裁定日から6ヶ月を超えない期限内(2020年12月29日)までに新料金を設定するといったものでした。
しかしながら、期限内では新料金の合意には至らず継続して協議を続け、2021年2月1日にようやく合意に至ったという経緯があります。

合意によって、今後はどうなるのか?

日本通信とNTTドコモの合意によって、短期的にはドコモは日本通信への卸料金を総務大臣の裁定日(2020年6月30日)までさかのぼる形で決済しなければならなくなります。
日本通信としては、さかのぼった期間での差額では3億1800万円低減する形となり増益になります。
NTTドコモとしては、逆に3億1800万円支出が増える形になり減益となります。

日本通信は音声通話卸料金値下げを見込んだ形で料金プラン「合理的かけほプラン」を設定して既に提供をしています。
今後は、値下げされた音声通話卸料金分を更に活かした音声通話サービスを提供されることによるさらなる充実が期待されます。
なぜなら音声通話卸値下げを受けて、何らサービスの変化がなければ卸料金の値下げだけ「せがんだ」ととらわれかねません。
さらには、次に総務省へ申請する形となった場合であっても、その点を明確にしておかなければ申請は通らないだろう。

あくまで個人的な見解ではありますが、日本通信もキャリアからの卸に頼らず楽天モバイルの様にアプリによる音声通話を行える様に設備投資を行えばさらなる値下げも可能なのは確かです。
※050などの異なる番号付与にはなりますが。。

今回の合意は、他のMVNOも同様の音声通話卸料金となるような交渉となることになることが想定されます。
今後、他の格安SIMについても値下げが進むかに大きな期待と注目が集まりそうです。