3キャリア値下げでMVNOの生き残り競争激化!(1/3)

3キャリア値下げでMVNOの生き残り競争激化!(1/3)

NTTdocomoからは「ahamo(アハモ)」、ソフトバンクからは「Softbank on LINE」、auからは「povo(ポヴォ)」が発表され、軒並み3,000円以下のプランを打ち出してきました。
この発表にMVNOユーザーとしては、MVNOの格安のメリットが全く無くなって着たことによって、契約変更を検討されている方も多いのでは無いでしょうか?
本来の価格競争では卸値も値下上げされることによって、MVNOの格安SIMも値下げされるはずではあるのですが、その交渉が難航していそうです。

これから、MVNOはどの様になるのでしょうか?

大手3キャリアの値下げによってMVNOとの棲み分けが曖昧に

大手通信キャリアは、NTTdocomoが大幅な値下げの勝負に出たことを皮切りに、軒並み20GB、2,980円の料金プランを打ち出してきています。
これによって、MVNOとの棲み分けが無くなるばかりでなく、MVNOの「格安」なメリットがまったくない状況となっています。
小容量でMVNOは勝負したいところではありましたが、NTTdocomoの「ahamo(アハモ)」に続いて、Softbankから「Softbank on LINE」が発表された事によってY!mobileから小容量の値下げ、auからもUQモバイルの値下上げが行われ、小容量で戦える部分が無くなってしまいました。

NTTdocomoがahamo(アハモ)を発表した直後からMVNOのIIJ(日本通信)は卸値の価格交渉を行っているようだが、昨年末には決着を付けることが出来ませんでした。
さらには、ソフトバンク、auと立て続けにサブブランドも含めた値下げを行って着たことによって一層MVNOの置かれる環境は厳しさを増しており、これらに対してMVNO側は1月20日にテレコムサービス協会MVNO委員会が総務省で行われ、大手通信キャリアと競争条件を揃えられる様に「緊急的な措置」を要望しています。
背景には、総務省が2020年10月に掲げた「アクション・プラン」によるところがあり、その中で3年間で接続料を半減にするように歌われており、3年も待てないといったことがMVNO側の理由の様です。
現状からすれば、大手3キャリアの新料金プランは2021年3月から提供が開始されるため、MVNOユーザーが一気にキャリアに移動することが容易に想定されるからです。

でも、その一方でNTTdocomoの「ahamo(アハモ)」発表に対して、対抗プランを即座に打ち出したIIJ日本通信やy.u mobileではU-NEXTがセットになった新プランで対抗しているMVNOも存在しています。

MVNOは苦戦状態にさらに追い打ちされて

MVNOは順調な伸びを示していたわけではなく、2017年頃に伸び悩みを見せています。
多くのMVNOを抱えているNTTdocomoは純増数を2017年11月の決算説明会で、下方修正していることからも伸び悩みがおきているのは明らかです。

その背景としては、大手キャリアのサブブランドのY!mobileやUQモバイル等が勢いを増し、大手キャリアもお手頃な料金プランを打ち出していた事が要因です。

MVNO側もその背景があるため、統廃合が行われており、楽天モバイルは2017年にFREETELLのMVNO事業を買収し、さらに2019年にはMNO参入前にDMMmobileの買収も行っています。

MVNO統廃合の背景

MVNOの伸び悩みによって、MVNOの統廃合されてきています。
LINEモバイルは、2018年にソフトバンクと資本業務提携を行い傘下に入り、2017年にKDDIがビッグローブを買収した事によって、MVNOのBIGLOBEモバイルもKDDIのグループになっています。
MVNOの2020年9月末のシェア順位は、UQ mobile、楽天モバイル、IIJmio、OCNモバイルONE、mineo、BIGLOBEモバイルの順になっています。
この中の順位内で、ほとんどが大手キャリア傘下になっているのが実状です。
この内訳を見ていみると、UQ mobileはKDDIのサブブランドという位置づけになった事によって、MVNOからは今後除外になります。
楽天モバイルについては、MNOのサービスを開始したため、MVNOの新規受付を停止しており徐々にMVNOから数を減らして行くことが想定されています。
また、OCNモバイルONEもNTTグループの再編によってドコモ傘下になる見込みとなっているためMVNOから除外になると思われます。

IIJmioはNTTの資本が入っているのでなんとも言い難いですが、独立系MVNOとしては、IIJmioとmineoの2ブランドが純粋なMVNOといえる存在で、実際のところMVNOは統廃合によってかなり数を減らしているのが実状です。

MVNOに更に追い打ち

この状況に更に追い打ちを掛けたのが、大手3キャリアの料金値下げです。
MVNOと言えどもほとんどが、大手キャリア傘下になる現状がありますので、純粋なMVNOが大手通信キャリアと対抗するのは総務省の後ろ盾なくては競争出来ない状況にあります。

大手3キャリアはNTTdocomoの「ahamo(アハモ)」が2020年12月3日に発表されたことを皮切りに、ソフトバンクから12月22日に「Softbank on LINE」、auからは2021年1月13日に「povo(ポヴォ)」を発表しており、提供開始はいづれのキャリアも2021年3月〜となっています。
「ahamo(アハモ)」と「Softbank on LINE」は20GB、5分間無料通話が付いてで2,980円、「povo(ポヴォ)」は5分の無料通話を省いて2,480円という料金を打ち出しています。
MVNOのこれまでの戦略は概ね、少ない回線借用し多くのユーザーを抱え込むことで成り立つビジネスモデルで、大容量に対応したMVNOは極稀でほとんどの会社は対抗策を打て無いのが実状です。

MVNOとキャリアの料金逆転現象

MVNOはキャリアに比べて「安い」ことを謳い文句に伸びたMVNOがほとんどで、大容量は苦手な状況です。
そのため、大手3キャリアが打ち出した20GBの新料金プランについては、MVNOの方が高くなってしまう逆転現象が発生しています。

例えば、IIJmioではファミリーシェアプランの12GBが3,260円となり5分間無料通話のつかないpovoと比較すると容量が8GB少なく、780円高くなってしまっています。
mineoも同じでauの回線を使うAプランの20GBでは4,590円となり2,110円も高くなります。
この状況では、MVNOを選択肢から除外するしか無くなってしまうのは仕方ありませんね。