ドコモが完全子会社化にKDDI,Softbank,楽天が意見書提出へ

ドコモが完全子会社化にKDDI,Softbank,楽天が意見書提出へ

NTTドコモが持株会社のNTTによる完全子会社化を2020年11月末までに完了しNTTドコモはNTTの完全子会社となりました。
そのドコモの完全子会社化に対して、他のKDDI、ソフトバンク、楽天らの通信キャリアからの危機感から意見書を総務大臣宛に提出する意向を固めました。
その内容についてはいったいどの様なものなのでしょうか?
一度分社化したNTTグループが徐々に元の姿に戻り巨大化する中、今後の展望はあるのだろうか?
それらをまとめておきますので、参考になれば幸いです。
では、一緒に見ていきましょう。

ドコモのNTT完全子会社化による意見書の内容は?

ドコモがNTTの完全子会社になることで一体どの様な事が起こるのでしょうか?
KDDI、ソフトバンク、楽天等の電気通信事業者の28者が連名にて、総務大臣に対して意見申出書を提出する意向です。

この意見書については、NTTによって完全子会社化によって、NTTが一体化、NTTの独占企業状態の回帰に繋がるのではないかとした意見書の様です。

KDDI、ソフトバンク、楽天等の電気通信事業者各社は、NTTが以前の様な体系に戻る事によって、公平な競争環境が失われ、利用者の利益を損うことに繋がるとして、公平な競争の場の整備を求める意見書にまとめています。

この意見書を提出するのは、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルのキャリアだけではなく、MVNO事業者のソラコム、ビッグローブ、LINEモバイル、オプテージ、QTnet等の28社。
この他にもジュピターテレコムなどの9社が趣旨に賛同を示しています。

 

意見書の趣旨

KDDIの理事である副本部長 岸田氏は会見で、37社の代表として、意見書の趣旨を説明しました。

そもそもドコモは、NTTより移動体通信事業を分離するため1992年に分社化を行っています。
巨大なNTTの存在に対して政治的な議論を通じて、巨大なNTTという企業体質から「資本力」「光ファイバー等の設備から切り離す」ことで、NTTとの競争が公正に行われることを目的に行われました。
当時、完全民営化と出資比率の低下を行うことによって、資本的な支配を切り離すこととしていました。

その後、1999年には、NTT自体もNTT(持株会社)とNTT東日本、NTT西日本、NTTコミュニケーションズへ分離分割が行われ、相互に競争関係にすることとなっていました。
そして、その際には持株会社は持たないとしていましたが、結果的に持株会社が存在する形になったため、禁止行為の規制を掛けることで公正な競争環境の整備が行われて来ました。

この様な経緯があるのに、今回の様にドコモがNTTの完全子会社となる事で、分離する前の競争力を持つことになっている。

NTT法で定める事業内容

NTT法では、持株会社の事業内容を定めていて、NTT東日本、西日本の株式保有、電気通信技術の研究等が挙げられています。
このNTT法で定められている内容と今回のドコモの完全子会社化は全く正反対のものではないかと指摘しています。

ドコモとNTT東日本・西日本が資本的に繋がることで、巨大な市場支配力を持つNTTになることになります。
更には、ドコモの完全子会社の会見時に「NTTコミュニケーションズ」等がドコモグループに入る発言があり、これが実行されれば巨大な市場支配力を持った企業の復活となります。

競争政策の形骸化

1992年から約28年が経過し、公正な競争環境整備のための政策が蔑ろにされ、ドコモの完全子会社化を容認するのであれば、これまでのNTTの在り方に関わる政策や公正競争の規制などの政策を見直す必要があります。
環境の変化に合わせて競争政策を見直すには、先ずは検証し必要な競争政策について議論が必要であると指摘しています。

これまでのNTTの在り方については、審議会などで政策議論を行い実施されてきているので、審議会の中で今後の在り方について議論すべきとして、競争環境の変化を言い訳にドコモの完全子会社化を簡単に認める訳にはいかないとしています。

環境変化に対応したルールとは?

5G通信を支えるインフラの大きな要因として、光ファイバーがあります。
今後の5Gの基地局展開ではより多くの光ファイバーが必要となり、現状のNTT東日本・西日本の光ファイバーシェアは75%。
民営化前の電電公社から継承した全国の電柱や局舎は7,200局を保有しており、これらインフラを所有するNTTグループは、5G時代と相まってこれまで以上に優位性を持つことになると指摘しています。

公正な競争を構築する際の必須条件としては、インフラの光ケーブルをドコモと競争相手の事業者で完全に同等の条件や環境で利用することが必要になります。

例としては、接続卸料金はドコモと他社で同じ料金とした場合であっても、卸料金が高ければ公正な競争は出来ない。
ドコモは完全子会社であるので、卸料金が高くて損失になったとしても連結決済では収益への影響は受けません。(グループ間でお金が動くだけ)ですが、他の事業者はj業績に直結するため、公正な競争になるような設定が必要です。
その際にインターフェース等がNTTグループに有利な仕様で提供されると、一見公正に見えますが、実際のところ他事業者は仕様を合わせる必要があるため、同等ではなく公正な競争が出来ないとしています。

これらに関して、ソフトバンクの松井氏は、NTT側は公平性を担保するとしていますが、実効性に疑問があると指摘しています。
現状のままではなく、更に1歩踏み込んだ規制を議論を通じて決めなければならないとコメントしています。

楽天モバイルの鴻池氏は、現在の基地局設備を構築する上でのNTT光ファイバー網の接続料金の高止まりは、新規参入事業者にとっては負担が大きく公正な競争を阻害されかねないとコメントしています。

株式保有が66%から100%になる危機感

この会見ではNTTグループを除いた、電気通信事業者がドコモの完全子会社化について危機感を示した。
完全子会社化前でもドコモの株式保有の66%はNTTが所有しており、NTTの支配力が効いている状態。
ここで、保有率が100%になることで、一般株主、市場を意識する必要が無くなり、持ち株会社の意向に基づいた経営判断がなされる事になります。

本来の流れであれば、NTT(持株会社)がドコモの株式を手放し、ドコモの完全民営化を行うなれが妥当でしたが、元鞘に戻る形となり巨大なNTTグループが復活し、市場を支配するのではないかということからくる危機感が感じられます。

現状、TOBを止める手段は無いため、今回の意見書では、「公の場での議論」「環境の変化に応じた競争ルールの整備」を求める形となっています。

競争のルールに関しては、現状NTT東日本・西日本の光ファイバー設備を利用に関して、NTTグループと競争事業者間での同等性とルールの厳格な運用を求めると共に、NTT東日本・西日本とドコモの一体化を厳格に禁止することを求めるとしています。