管新政権の改革「携帯電話値下げ」が招く未来にあるものとは(2/2)

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この記事の前段として、「管新政権の改革「携帯電話値下げ」が招く未来にあるものとは(1/2)」を先ずは見ていただきたい。
その続きとして、この記事ではMVNOでの競争について掘り下げ、これからの行く末について考察していこうと思います。

価格競争のキモとなるMVNOに対する政策が不足

そもそもで、価格競争を促すには、格安SIMを提供しているMVNOの働きが重要になります。
理由については、「管新政権の改革「携帯電話値下げ」が招く未来にあるものとは(1/2)」を見て下さいね〜
大手通信キャリア(MNO)と格安SIM(MVNO)の競争はできるのでしょうか?
現状は、格安SIMは頑張ってはいるのですが、結果的には大手通信キャリア3社(NTTドコモ、au、ソフトバンク)に顧客は集中している。
格安SIMの各社は大きな成長を遂げていないのが現実。
これには、様々な阻害要因のために競争がはたらいていないことが大きな要因。

なぜかと言うと、分かりやすいのは、通信に付加する価値が少ないことが挙げられる。
具体的な例としては、窓口の少なさ。街で見かける携帯電話を販売するショップの大半が、大手キャリアの代理店であり、格安SIM会社で店舗を運営しているのは殆どない。一部の格安SIMは携帯電話ショップと代理店契約を交わしてはいますが、ごく少数。
その様な店舗が存在するか否かは、一般的なユーザーからすると大きな要因の1つ。
このような店舗が身近になく、サポートが受けられないと、トラブルが起きたときなどは自己解決となるため、大手キャリアと比べると一般ユーザーにとっては、格安SIMへ意向出来ない要因となっている。
この実店舗を運営する経費は全て、通信費が原資となるため、多くの格安SIMは料金を抑えるために実店舗は持たずネットショップとなっています。
この格安SIMの料金の理由や仕組みなど、一般的なユーザーにわかりやすく浸透させることが出来なければ、MVNOの活躍が難しいところ。

格安SIMの名前の通り、MVNOが「価格」だけ注目されてしまった結果

MVNO=格安SIM、格安スマホという呼び方は定着しているのではないでしょうか?
格安SIMを契約している方の多くは、大手通信キャリアから格安SIMへ移行し、月額料金を抑えることを目的としているのではないでしょうか?

料金を安く抑えてサービスを提供るためには、何かコストをカットしていかなければいけません。
一般的なユーザーは価格が安くなっている背景には何かがカットされていることを理解しなければならないという難しい課題があります。
格安SIMや格安スマホなどの名前が先行して定着してしまった結果、MVNO特有のサービスよりも「低価格」という点だけが注目されてしまった結果といえます。

こうなってくると、実店舗があり、サポートする体制がある大手通信キャリアが政府の要求により価格を下げてしまうとどうなるのか…
価格で競争できなくなったMVNOは格安SIM、格安スマホといった低価格さをユーザーに訴求できなくなっては競争する土俵にすら上がれなくなってしまうのではないでしょうか。

格安スマホ、格安SIMのなかで競争の土俵に立てるのは、店舗などを持つauやソフトバンクが展開するサブブランド。
サブブランドはauだとUQモバイル、ソフトバンクだとY!mobile(ワイモバイル)です。
このサブブランド構造は、大手通信キャリアと同様にサポート体制があります。
こうなることで、MVNOがMNO化し、料金の差がなくなってきます。
実際これらのサブブランドは他の格安SIMと比較すると少し割高だったりします。

政府は、価格のみに意識がいき、価格を下げる指示を出しているが、この様な構造的な問題には手をつけていない。
政府がだしたアクションプランの結果は下の図の通り。

NTTドコモ以外はサブブランドも合わせて料金値下げを明確にしている。
NTTドコモはサブブランドは持たず、全てのMVNOへ広く回線を提供している背景があるためこの様な図になっています。
ここで伝えたい構造の問題点は、au、ソフトバンクは広くMVNOへ回線を貸し出す必要があるということです。そうでなければ、大手通信キャリアでのサブブランドを禁止するなどの措置を取るなどしなければなりません。
価格競争を携帯電話事業者にさせたいのであれば、構造の見直しが必要な時期にきています。
政府はこの点に力を入れなければ、構造や価格の本質的な改善は見込めないと思います。

政府の値下げの指示の矛盾

政府の方針として、価格の値下げがありますが、MNOとMVNOの構造については全く対策をしていません。
本来の競争を働かせるのであれば、その人その人のニーズに合わせて選べる様にすることで競争が働くのだが、政府が提示している内容はその真逆です。
料金体系が複雑すぎるから簡素化にという。
今一度、政府のアクションプランを見直して見ましょう。
第一の柱のアを見ていただきたい。

書いていることを見れば、ユーザーが分かりやすく選択が適切に行えるようにと読み取ることが出来ます。
ここで指しているのは何なのか?携帯電話各社の料金プランは簡素化されている。MVNOも通話SIM、データSIM、月間の容量程度のプランになっている。
これが適切な選択を妨げているということなのだろうか?

その人その人に合った、料金と付加サービスをユーザーが選ぶことで競争を促進することが可能になるのだが、政府の考えはそうははなっていない様です。
恐らく政府は仕組みや携帯事業の発展などは全く理解できていないと思われる。

過去に政府が行った政策では通信料金と端末料金の完全分離というものがある。
これの意図は、高価な端末を割り引いて販売することで集客を行い、割引額を通信料金で後に回収する方法する仕組みでは、特定の端末メーカーを優遇し、契約を取ることを禁止することで公正な競争を促進することです。

ですが結果として、公正な競争にはつながらず、販売促進費が発生しなくなった大手通信キャリアのコスト削減に繋がり利益が増え、国内の端末メーカーの淘汰が発生し多くの日本のスマホメーカーが撤退を余儀なくされる事となった。

さらには、MVNOは安価な端末で集客することが出来なくなり、MVNOの集客を落とす結果となっています。
そして、au、ソフトバンクのサブブランドがあることで、月額の料金を少しでも安くしたいユーザーはMVNOではなくサブブランドに流れる結果になっています。

日本国内のスマホメーカーは海外スマホに圧され衰退し、端末販売が低下し、競争が低下し、結果として大手が有利になることに繋がってしまっています。
これらの政策は全くの的外れです。

料金の競争を起こしたいのであれば、大手以外が有利になる政策を定期的に行い、継続的に競争が働くように促す働きかけをするほうが良いのではないでしょうか。
ここでいう、大手以外とはまさしくMVNOです。
競争を産みたいのであれば、MVNOが有利になるような取り組みをすべきなのです。

店頭での顧客サポートについては、公正な競争を働かせるのであれば、それら窓口的な仕組みを作り、必要な経費は各通信事業者から公平に徴収することでまかなえる可能性もある。
サブブランドを運営している、auやソフトバンクの様なイメージで公正化を図っても良いのではと考えさせられてしまう。

公正な環境を構築するのであれば、大手通信キャリア配下のサブブランドはMVNOとは言えず、存在を認めては行けないのかも知れません。
構造が複雑化している要因の一つにサブブランドがあるのではないだろうか?
MVNOはMNOから回線を容量で借り、その料金を払いその料金を通信費から回収しますが、このサブブランドの料金と通信速度については、他のMVNOからするとMNOの速度とさほど変わらないため、サブブランドの存在が、複雑と言われる大きな要因であると言えます。
サブブランド以外のMVNOの回線利用料金とは大きな違いが隠されています。

根本的に解決しなければならないのはサービスの多様性促進では?

根本的な問題は、一人ひとりに合ったサービスを選択出来る環境がないことにあるのではないでしょうか?
安易に競争=料金と定義つけていることに問題があるのではと思います。

しかしながら、MNPの手数料を撤廃するなどの対策を今回のアクションプランに含めているため政府は競争施策を盛り込んではいます。

そもそも、あなたは携帯電話の事業者を変えたいと思っていますでしょうか?
そうなんです。よっぽどの料金差や受けたいサービスがない場合は特に通信キャリアを変えようとまでは動かない人が殆どなんです。

料金だけでみれば、楽天モバイルの300万人キャンペーンはとっくに終了しているのではないだろうか?
この結果は、料金の安さだけで契約は切り替えないことを証明していると言えます。
単に料金が安いからと言って、面倒な契約変更をする人は少ないです。

5Gが加速することで状況は変化する?

2020年に日本でサービスが開始した5Gではサービスの多様性や様々な業態からの参入がしやすくなります。
4Gまではあくまでも携帯電話向けのサービスでしたが、5Gでは低遅延技術を使った自動運転、遠隔操作、多元接続技術による各種デバイスのネットワーク接続、高速通信によるVRや4K・8Kのライブ配信等サービスが多岐に渡る。
これら5Gネットワーク構築に掛かる費用の減税などのの施策を行うことで5Gを政府が後押しして加速させるのも大いにありではなだろうか。

料金価格を下げる様に促すことは良いのだが、競争が各社を弱らせ、日本の将来のインフラが失われたり、世界的にみて通信の後進国になる可能性があるのであれば、国としてより深く検討した政策への切り替えを迫られるはず。

日本の通信インフラは、災害が多いこの国で災害時においてもすぐに復旧や仮設が可能な様に対策が取られています。
実はこれらのことは世界的に見てもとても素晴らしいことでこの様な国はとても少ないのです。
この様な仕組みは、世界に新幹線の仕組みを売るように国が先導をとって、世界に広めても良い位のポテンシャルを秘めています。

管新政権は、国民に対して安易に分かりやすい政策を打ち出し、人気を得ることだけをするのではなく、将来の日本を見据えた政策を将来的に打ち出すことを期待したい。