MVNOとMVNEはどう違うの?格安SIM事業者は2種類存在

格安SIMの話の中でMNO、MVNOさらにはMVNEなどの用語が出てくる事があります。
格安SIMの多くはMVNOとなりますが、MVNEとMNOとの違いは何なのでしょうか?

MNO、MVNO、MVNEの用語だけでは分かりづらいですね。
MNO、MVNO、MVNEはそれぞれ役割が異なります。
この役割を理解することで、格安SIM業界を理解し易くなり、さらにはどの格安SIMを選んだほうが良いのかも分かって来ると思いますので、この記事ではMNO、MVNO、MVNEの役割、そしてどの様な格安SIMを選べば良いのかを見ていきましょう。

MNO、MVNO、MVNEの役割とは?

格安SIMの契約をしたり検討する上で、MNO、MVNO、MVNEの意味する役割を理解することはあまり重要では無い様に思われる方が多いのかなと思います。
実際格安SIMを契約するにはこれらのMNO、MVNO、MVNEの意味を知らなくても何ら問題なく契約することは可能です。
でも知らないで大手キャリアから格安SIMに変更をした場合、「あれ?」「ん?」などの微妙な違いに驚くことがあるかも知れません。

その違いこそが、MNO、MVNO、MVNEの違いです。

これらMNO、MVNO、MVNEを理解することは、自分に合った格安SIMを選ぶ第一歩であることは実は近道だったりします。
格安SIMを選ぶ際に「つい」料金だけを見て安いからと判断しまいがちですので先ずは役割を知っておきましょう。

MNOとは?

MNOとは「移動体通信事業者(Mobile Network Operator)」のことで、NTTドコモ、Softbank、KDDI、楽天モバイルのことを指します。
このMNOは、スマートフォンと通信を行う基地局やそれらを束ねる通信機器を自社で所有しているのが大きな特徴です。
そして、これらの通信設備をMVNE、MVNOへ卸しているのがMNOになります。

MVNEとは?

MNVEとは、「仮想移動体サービス提供者(Mobile Virtual Network Enabler)」のことで、MNOとMVNOの中間的な位置づけで、MVNOに対してモバイル通信を提供するためのノウハウや総合的なサポートを行います。
役割的には、中間的な位置づけであることから調整役(コンサルティング)といったところ。
MNOとの回線接続を行うためのサーバーの提供を行ったり、契約情報(SIMカード)の管理、通信量のカウント・課金などMVNOがサービスを提供するための様々なサポートを行っています。
実際、MNOと相互に回線を接続するといった場合、様々な知識や設備がないと行うことは非常に難しくこれらを提供可能なMVNEは数少ないのが実状となっています。
単純に設備といってもとても高額なサーバー群が必要ですし、それらを24時間安定的に運用するにはそれなりのコストが掛かります。
どの様な会社でも簡単に参入出来る訳ではありません。

日本国内の主要なMVNEは「IIJ」「OCN」「freebit」「日本通信」となっています。
MVNEでも格安SIMを提供していますので、MVNEとMVNOの両方の側面を持っているので若干区別が付きづらいかと思います。

さらに分かりづらくしているのが、格安SIM(MVNO)の中ではMVNEを経由せずサービスを提供している会社もある点です。
主にキャリア系のサブブランド、UQモバイル、Y!mobileがこれに該当します。
MNOと直接的な関係性ではありますが、格安SIMを提供していますのでMVNOと定義されていました。
しかしながら、UQモバイル、Y!mobile共に新料金プランの発表に際してサブブランドである事が明確に位置づけられましたので、これからはMVNOではなくMNOのブランドの一部といったことになります。

MVNOとは?

MVNOとは、「仮想移動体通信事業者(Mobile Virtual Network Operator)」のことで、MVNEから回線の提供を受け、格安SIMを提供している事業者になります。
MVNOは特にノウハウを持たなくてもMVNEから回線の提供を受けることでサービスを提供できますので、特に設備を持つ必要はありません。
日本国内の格安SIMはこの様な形で特に設備を持つこと無くサービスを提供している格安SIM会社が大半を占めています。
一部の格安SIMでは、独自のサービスを提供するためにサーバーを所有していますがごく限られた格安SIMといったのが現状です。

MVNEとMVNOの違いとは?

MVNEとMVNOについては先述した通りですが、もう少し詳しく見ていきましょう。

MVNOは携帯会社で、MVNEは中間に立つサポート業者といった位置づけです。
そうなると、MVNEはMVNOに対してMNOから卸して貰った回線をピンはねして提供している形になるので、MVNEがなければ格安SIMはもっと安くなるのでは?と思う方も多いと思います。

実際のところ、MVNEはMVNOに対して、回線を再卸していますのでピンはねしていることには代わりはありません
しかしながら、MNOと回線を接続するだけでなく、24時間365日安定的な回線の運営を行わなければなりませんし、MNOと相互に接続するにあたっては、MNO回線に影響を与えないため、認められた機器を接続したりしなければなりません
この回線を相互に接続する際の機器については予め接続に問題がないと認証された機器を導入必要があり、汎用機器ではありますがかなり高額な機器になります。
また、機器の設置場所もデータセンターなどの予備電源などの条件もクリアした場所への設置が必要になりますので、MVNOはこれらの投資やコストに対する対価としてピンはねされても致し方ありません。

MVNOはこれらの接続以外にのMVNEから恩恵を受けています。
例えば、月間の容量を超えた場合の速度制限を行うとしましょう。
その場合、どの回線でどの程度データ通信を行っているかを管理しなければなりません。
その管理情報を元にユーザーの回線ごとに制限を掛けなければなりません。
これらをMVNOがデータ容量をカウントするサーバー、使用データ情報を保管するサーバー、ユーザーごとに速度制限を掛けるサーバー、さらに契約情報を管理するサーバーも必要です。

この様に携帯サービスを提供するには様々な機器との接続とそれらを管理、運用する仕組みが必要になります。
MVNO各社がそれぞれで用意するには非常にハードルが高く、エンジニアなどの人的要因をクリアするには非常にコストが掛かります。
よって、MVNE無くMVNOは存在出来ません。

MVNOが新規に参入することを可能にしているのがMVNEなのです。

MNO・MVNE・MVNOの相関図

どの様な格安SIMを選ぶのが良いのか?

これまで、MNO、MVNE、MVNOの役割や関係性について見てきました。
MVNEについては、どの企業でも参入できるのかと言うとそういう訳では無いことはご理解いただけましたでしょうか?
さらにMVNEとなるにはMVNOとして回線数や経営実績等ももとめられますので、大手MVNOがMVNEとなる場合が大半です。

MVNEという単語を検索されてこのページに来られた方が気にしている1番の点は、「どのMVNOがどのMVNEを使っているから遅い(速い)」といった背景があるのではないでしょうか?
MVNOは、MNOからMVNEへ卸された回線を再卸しされていますので、MVNEがMNOから借り入れている回線容量が少なければMVNOの速度が遅くなり、速度変動が大きくなります。
MVNOの速度はMVNEの回線容量に寄るところが大きいのも事実としてあります。

では、どのMVNEを使っているMVNOを選べば良いのでしょうか?

ネットで検索すれば出てきますが、MVNEとMVNOの相関図については、最後に記載していますので、目次から飛んで頂ければ確認頂けます。
やはり、速度が安定しているところとしては、OCN、IIJ、So-net、b-mobile、Freebit、Infosphereといった辺りになります。

さらにMVNOとなると、OCN系ではぷらら、ASAHIネット、NifMo。IIJ系ではイオンモバイルがあります。
自力で調べるのは非常に大変ではありますが、調べ方としてはAPNで判断する事も可能です。
APNはネットワークに接続するためのアクセスポイント名になります。
MVNOで独自のAPNを持つとコストが掛かりますので、MVNEから提供されるAPNを使うMVNOは少なくありません。
実際に調べる際は、「MVNO名+APN設定」と検索するとAPN設定に関するページがヒットしますので、Androidの設定を見ればAPNを知ることが可能で、そのAPNからMVNEを判断する事が可能です。

上記の方法以外にもIPアドレスから判断する方法なども可能ですが、かなり複雑で必ず分かるものでは無いので省略します。

どのMVNOがどのMVNEの回線を使っているかについては容易に確認出来る格安SIMもあれば独自の設定をしている格安SIMもあるため判断が難しいところです。
逆にこの様に様々な設定で提供可能としているバックボーンが確率しているからこそ、格安SIMでは様々なサービスの提供が可能になっているということも言えます。

様々なサービスの提供の下支え担っているMVNEがあってこそのMVNO、格安SIMですので、格安SIMを選ぶ際には料金だけではなくMVNEも考慮することで満足のいく契約が出来ると思いますので、MVNEにも注目して頂けると幸いです。

MVNE-MVNO対応表

NTTドコモ系

名称 MVNO MVNE サービス開始 系統 備考
OCN モバイル ONE NTTコミュニケーションズ NTTコミュニケーションズ 2013年8月29日 ISP系 NTTドコモの兄弟会社
ASAHIネット LTE ASAHIネット 2013年3月4日 ISP系
NifMo ニフティ 2014年11月26日 ISP系
LINEモバイル LINEモバイル 2016年10月1日 キャリア系 LINEとソフトバンクの合弁企業
INTERFONEmobile IPC World, Inc. 2017年4月20日 衛星放送系
IIJmio タイプD インターネットイニシアティブ インターネットイニシアティブ 2012年2月27日 ISP系
Tikimo SIM タイプD エヌディエス 2015年6月26日 ISP系
exciteモバイル エキサイト 2012年7月26日 ISP系
DMM mobile DMM.com→楽天モバイル 2014年12月17日 独立系 2019年8月27日新規受付終了
hi-ho mobile ハイホー 2012年3月1日 ISP系 IIJの完全子会社
QTmoile Dタイプ QTnet 2015年03月02日[5] 電力系 九州電力グループ
BIC SIM ラネット 2013年6月14日 流通系 ビックカメラの完全子会社
b-mobile 日本通信 日本通信 2008年08月07日[6] 独立系
U-mobile MAX U-NEXT 2016年10月17日[7] ISP系 2020年2月6日新規受付終了
TONEモバイル トーンモバイル→ドリーム・トレイン・インターネット フリービット 2013年11月 ISP系
U-mobile 通話プラス、データ専用 U-NEXT 2013年9月2日 ISP系 2020年2月6日新規受付終了
DTI SIM ドリーム・トレイン・インターネット 2015年9月17日 ISP系
mineo ドコモプラン オプテージ オプテージ 2015年9月1日 電力系 関西電力グループ
Fiimo Dプラン STNet 2016年2月15日 電力系 四国電力グループ
BIGLOBEモバイル タイプD ビッグローブ 2014年7月1日 ISP系 KDDIの完全子会社
ペンギンモバイル 日本自由化事業協会 2015年11月1日 独立系
楽天モバイル 楽天モバイル 2014年10月29日 中継電話系 2020年4月7日新規受付終了
WirelessGate SIM ワイヤレスゲート 2014年9月1日 ISP系 2017年4月新規受付終了
SkyLinkMobile エレコム→アイキューブ・マーケティング 2014年9月1日 独立系 2018年2月28日新規受付終了
ポインティSIM アクセリア 独立系 2018年7月31日サービス終了
Wonderlink パナソニック 独立系
インターリンクLTE SIM インターリンク 2014年7月8日 ISP系
エックスモバイル エックスモバイル 2014年10月10日 独立系
LinksMate LogicLinks 2017年7月1日 独立系 Cygamesの子会社
ヤマダ ニューモバイル Y.U-mobile 2017年4月1日 ISP系 ヤマダ電機とU-NEXTの合弁企業
y.u mobile 2020年3月12日
nuroモバイル ソニーネットワークコミュニケーションズ 2016年10月1日 ISP系
イオンモバイル イオンリテール 2016年2月26日 流通系

KDDI系

名称 MVNO MVNE サービス開始 系統 備考
UQ mobile UQコミュニケーションズ UQコミュニケーションズ 2014年12月18日 キャリア系 KDDIの関連会社、2020年10月1日よりKDDIへ事業承継によりMNOに分類
J:COM MOBILE ジュピターテレコム 2015年10月29日 CATV系 KDDIの子会社
BIGLOBEモバイル タイプA ビッグローブ 2017年10月10日 ISP系 KDDIの完全子会社
mineo auプラン オプテージ オプテージ 2014年6月3日 電力系
Fiimo Aプラン STNet 2016年2月15日 電力系
QTmobile aタイプ QTnet 2015年8月3日 電力系 2017年3月1日に “BBIQスマホSIM a” から改称
IIJmio タイプA インターネットイニシアティブ インターネットイニシアティブ 2016年10月1日 ISP系
Tikimo SIM タイプA エヌディエス 2015年6月26日 ISP系

KDDI系

名称 MVNO MVNE サービス開始 系統 備考
b-mobile S 日本通信 日本通信 2017年3月 独立系 ソフトバンク回線 2020年2月6日新規受付終了
U-mobile SUPER U-NEXT 2016年6月 ISP系 ワイモバイル回線
U-mobile S 2017年3月 ソフトバンク回線 2020年2月6日新規受付終了
Hitスマホ 飛騨高山ケーブルネットワーク 2016年8月 CATV系
mineo Sプラン オプテージ 2018年9月4日 電力系