管新政権の改革「携帯電話値下げ」が招く未来にあるものとは(1/2)

管新内閣が発足してから約1月が経ち、様々な改革の提示が行われてきています。
この改革の1つに「携帯電話料金の値下げ」があります。
管新内閣が提唱する、この「携帯電話料金の値下げ」は管義偉氏の悲願とされていますが、自由民主党は10年前からこの「携帯電話の値下げ」を訴えているが、現状は競争ははたらいている様なはたらいて居ないのかはっきりしない状況が続いてきている。

今、管新政権がなぜこの「携帯電話料金の値下げ」を提唱してきているのかと言うと、携帯電話は国民のほぼ全員の生活に直結しており、国民から良い支持を受けるための一つの武器と言って良いでしょう。
管新政権は、手っ取り早い国民の支持を得やすい政策を掲げ、国民からの支持を得たい背景があるように伺えます。

実は、この「携帯電話料金の値下げ」については、多くの通信業界関係者は異論を訴え続けている。
なぜ、通信業界関係者は異論を訴えているのでしょうか?
多くの人にとっては分かりやすい「携帯電話料金の値下上げ」が伝わって、それ以外についてはあまり伝わっていないのではないでしょうか?

この「携帯電話料金の値下げ」にはどの様な問題や背景があるのでしょうか?
その場しのぎ的な政策感がいなめないこの「携帯電話料金の値下げ」は本当に携帯事業者間の競争を促すことができるのでしょうか?
その様な疑問がありますので、「携帯電話料金の値下げ」について状況を調べてみました。

「携帯電話料金の値下げ」は競争を産むのか?

管新政権が掲げる「携帯電話料金の値下上げ」とは、一体どの様なものなのか?
2020年10月27日に総務大臣の武田良太氏は会見で、携帯電話市場に向けて、携帯電話料金の引き下げを促すようなアクションプランを発表しました。

携帯電話料金の値下げは、国民の大半が恩恵を受けるため、通信業界関係者が異を呈することに対しては、携帯事業者が自分たちの利益しか見ていないからそんなことを言うのではないかという意見も多いのは確か。

私としても毎月の携帯電話料金が安くなるのはとてもありがたい。
この様な記事を書くには、実際に使ってみないとわからないことが多く複数の回線を契約していて、毎月の携帯料金は数万円になる。
この金額は他のライターからすると安い部類に入ると思います。
これが安くなるなら私としてもとてもありがたい。

だが、この管新政権が掲げる国民の支持を得るためのその場しのぎ的なアクションプランには異を呈したい。
なぜ、その様な意見になるのか、あまり知られていないことなのでこの場で説明させて頂ければと思う。

国が料金を値下げするように指示をすることが問題

携帯電話料金が安くならないのは、通信事業者が結託しているから、料金が下がらない。
だから国が動いて料金を強制的に値下がるように働きかけている。
この行為自体が、携帯電話料金の値下げにつながらない歪の根源とも言える。

例えば、水に例えてみると分かり易い。
水道の蛇口をひねれば水が出ますよね。
大量の水を使えばその分料金が高くなります。反対に水を使わなければ料金は安くなります。
中には水道水は飲みたくないので、飲料用としてはウォーターサーバーと契約して有料で水を購入している方もいると思います。
量や質、ブランド等によって、比較が起こり、そこに競争が働きます。

この国は資本主義国家です。価格は統制されて一律の価格ではなく、選択の自由があり、自身が好むものを選んで購入することが出来ます。
それらを一律値下げという事自体、競争が働かなくなる原因の根幹であることをご理解頂きたい。

水の例えを携帯電話に置き換えて見ると、多くのデータ通信を行う人、殆ど使わない人などを一律値下上げということになる。
例えば、Youtubeでライブ配信をする方やテレビ局なのでは高速通信で途切れない安定的なサービス提供会社があれば、例え料金が他と比較して割高であっても利用するのではないでしょうか?
低速でつながれば何でも良いと言う人でも、ネットが見れないような低速で使いたい場所でつながらない携帯会社が最安の料金で契約できるとしても契約しないのではないでしょうか?
携帯電話会社は各社独自のノウハウで基地局を設置しネットワークを構築しています。
さらには、災害時でも繋がるような余剰設備も構築したりしています。またその逆で普段は使えても災害時の備えが少なく、復旧に時間が掛かる会社もあります。
それらを踏まえて、一律値下げを指示した結果がこの様な結果です。

どうでしょうか?
政府が料金値下げを促した結果、競争は殆ど働かず、殆ど横並びになっていることが分かるのではないでしょうか?
政府が料金が高いとしているのは、米国などの他国と比較してのこと。
災害が多い日本では、様々な対策を取る必要があるため、耐震性や災害時の停電に対したバックアップ電源設備など、一概に他国と比較して高いとは言えないはず。
まずは、この料金が妥当か、利益が出すぎていないかを個々に査定する必要があるのだ。

なので、国が通信事業者に「料金が高いから値下げしろ」と働きかけるのは問題だと私は考えています。
料金ありきで考えれば、コストの掛かる災害の準備やバックアップ設備は作れなくなる。
それでも良いとするのでああればその点についても法を改正して、料金が下げやすくするように国が音頭を取るべきだと考えます。

ここで、バックアップ設備を作る作らないは通信事業者の勝手ではないことを理解しておきたい。
通信事業者は大きく分けて、第一種通信事業者と第二種通信事業者に分かれる。
分かりやすく言うと、第一種通信事業者は、大手通信キャリアのMNOが該当する。
第二種通信事業者は格安SIMなどを提供しているMVNOだ。
格安SIMを提供してるMVNOのなかには、第二種MVNOからさらに借り受けてる会社もある。
この第一種通信事業者は、通信事業者方によって、通信の継続を求められているため、バックアップ設備を作らなければならない前提条件があります。

本来、政府が行うべきこととは?

本来、政府が行うべきことは、上の画像の様に料金が一様にならないよう、公正に競争が行われるように阻害となる要因を取り除く様な政策を打ち出すことが必要です。
その結果として、公正な競争が起こり、値下げに繋がるのではと私は考えます。

先述したとおり、通信事業者各社のノウハウで基地局を設置し、ネットワークを構築しています。
よって、通信事業者が完全に対等に競争できる状況にすることが基本的に難しい
電波と言う、有限な資源を国から借受けて日本全国に巨大なインフラを構築するのだから、組織の大小、資本の大小などの差が発生して当然なんです。
組織や資本力が強い会社のほうが、ネットワークを構築する上で優位になるのは必然です。
それらをコントロールし、公正な競争となるようにするのが国の役目です。

携帯電話は公共性が非常に高い事業です。
資本主義だからと言って、資本力が大きければ優勢となっては本末転倒ですから。

携帯電は事業は、当初の自動車電話という事象規模から、誰でもどこでも使える様な市場拡大を遂げたことによって、安定した収入基盤(顧客基盤)が出来き、大きな収益が安定的に長期的に見込めるものへと成長しました。
このことが根底にあってこそ、市場から資金調達を行い、日本全国へ巨大なインフラを整備しても収益性を得られる。
これらがが根底にある上で、企業同士が競争し合うのがあるべき姿ではないだろうか。

しかしながら、この様な巨大インフラを構築出来る通信事業者を1つの国に10や20作って競争させることは難しい。
インフラを構築した費用を通信費からまかなえるバランスからすると、1つの国で3〜4社に集約される国が殆ど

日本では、大4のキャリアとして楽天モバイルを参入させています。
楽天モバイルの親会社である楽天は楽天モバイルのインフラへの投資によって既に大幅な赤字を計上しています。
そこに料金の値下げですから、楽天モバイルを後押しするどころか、足かせを強めているようにも思えます。

巨大なインフラを複数の企業が持つことは市場的に困難ですから、それらに対してはインフラを持たなくても事業が出来るようなMVNOといったビジネスモデルがあります。
MVNOは規模やサービス内容を限定することで、価格の低減やユーザーニーズに合わせたバリエーションを持つなどして、価格競争へ貢献するのが本来の姿。

よって、管新政権が提唱するアクションプランのMVNOへの貸し出し料金の値下げについては、競争の原理が働くため望ましいと言える。

このアクションプランを策定した方の知見全てを否定することは出来ませんが、せっかく政府が働きかけるのであれば、根幹を意識したプランを検討して欲しかったといえるのではないでしょうか?