IIJ絶好調の背景には楽天モバイルの忍び寄る影が迫る?

IIJ(インターネットイニシアティブ)は、2020年11月9日に2020年度上期の業績を発表しました。
業績は、コロナ過によるテレワーク需要の伸びに合わせて業績が伸び、増収増益を達成しました。
2020年度の売上計画を2100億円から、2120億円に上方修正し、営業利益も87億円から113億円に上方修正しました。

IIJが好調な背景は、コロナ過によるものとしていますが、今後どの様なことが起こりそうなのか、IIJの勝社長がY!mobileやUQモバイルなどのサブブランドが出している20GBプランについては「大きな影響はない」とし、楽天モバイルの影響あると認めています。
その背景について見ていきましょう。

IIJの2020年上期の総括

モバイル・IoTサービスについては、2020年度上期は314万回線となり、前期比で11.3%増
総売上が235.8億円となり前期比では3.2%増となりました。

内訳は、法人向けが96.8万回線、2019年第2四半期時点の65.1万回線から右肩上がりで伸びを見せています。
フルMVNOサービスについても法人売上が大きく増えていて、回線増に大幅に貢献しています。
渡井昭久CFOは、法人の100万回線は視野に入っていると意欲を表しました。

その一方で、個人向けモバイルサービスの「IIJmio」は、2020年度第2四半期で104.5万回線。
2019年度第4四半期では107.5万回線で、2020年度第1四半期には106.3万回線と徐々に純減していてかなり苦戦している。
MVNE向けの回線数も2019年度以降から、110万前後で横ばいで推移。
渡井CFOは、「個人向けのIIJmioとMVNEの個人向けは競争関係でもあるため、数字が伸びているという状況ではない」と横ばいの苦戦状況について語った。

この会見に際に勝社長は、総務省が10月27日に発表した、「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」についてこう語りました。

大手キャリアから借り受けるモバイル接続料は3年間で2019年度比で5割元という具体的な目標が掲げられていた点について

歓迎したい。
必ず3年間で接続料の低減を実現いただきたい

5Gがサービス開始され、通信速度が増加する一方従来のデータ容量での接続料では大手と勝負にはなりませんので、更に引き下げの余地があるのではと期待を寄せていた。

このモバイル接続料はMVNOにとっては死活問題です。
少しでも接続料が安くなれば、その分離液を増やすことも出来ますので価格競争にも対応出来ます。
政治的な力が働いていますから、大手通信キャリアと同等の勝負が出来る様になるのではと思われます。

このアクションプランでは、eSIMの推進が盛り込まれています。
IIJでは、フルMVNOであることを活用して、eSIMを既にサービスをしているが、データ専用SIMに留まっています。
現在のIIJのeSIMは音声には対応出来ていません。
今後は、ドコモが開発予定のeSIMを売ることが考えられますが、フルMVNOであっってもMNO同様に音声SIMやSMSに取り組めるような仕組みにしてほしいいと、要望も述べていました。

サブブランドの20GBプランの影響はないのか?

政府のアクションプランに対応するため、ソフトバンクのY!mobile、KDDIのUQmobileからは、4,000円程度で20GBのプランを発表しています。

MVNOのユーザーを更に奪われる事が想定されますが、勝社長は「それほど影響は大きくないと感じている」とコメント。
IIJのユーザーは主に3GB、5GBなどのライトユーザー層のため、20GBのプランはIIJが狙っている市場とは異なることが要因のようです。
これから、接続料の引き下げに伴って、新しいプランを考えて行きたいとコメント

サブブランドが発表した、20GBのプランよりも驚異としているのが、「楽天モバイル」とのこと。
楽天モバイルの価格帯はIIJの価格帯に近似していて、月額2,980円のプランのため、これまでIIJと契約するユーザー層が楽天モバイルを選択する流れになっているのでは?といった事からです。

この楽天モバイルの動きについては、時期に落ち着くのでは?といった見方もしている様です。
新しい料金プランも検討しているようで、楽天モバイルの無料期間が終わるタイミングを狙って勝機を勝ち取るのかがこれからの見ものになりそうです!

新型コロナウィルスの影響による販売店への影響については、徐々に戻ってきているとのこと

iPhone12の遅れやHuaweiの新モデルが売れなくなってきていることの影響のほうが大きいようです。

IIJでは、2020年10月30日からKDDI回線を使った5Gサービスの提供を開始しています。
回線については「KDDIに限定せず、ドコモ等の他社についても使っていきたい」と勝社長はコメント。
コンシューマー向けの5Gサービスは検討している様ですが、まだエリアが限定的でなため、エリア構築の進捗に合わせて対応していくとしています。